せっかち歌仙 その9

<  朝 霧 の 巻 >


   晩 菊    紅 蓮    長 者巻   少艶     良流 娯    天遊


 

発句

朝霧 や川面に鴨の影静か

  

脇句

 爽やかな風谷を吹 き抜け

紅  蓮

第三(月)

吐月峰(とげっぽう)とろろの里に佇みて

長者巻

  俳画もどきの傑作を描く 

  

手作りの一夜漬け盛 る抹茶椀

良流娯

 いまだ夢見る中間テ スト

  

(初折裏)



あこがれは赤毛の アンとギルバート

 青き瞳に恋は芽生 えて

学ばずば心惑わす何もかも

10

 奥義究めて新たな恐れ

11

大記録懸けてイチ ロー挑みけり

12

 ボケ防止にとピアノ弾く友

13(月)

月冴ゆる箏曲を聴 く夕べかな

14

 立秋を過ぎ ま だ燃ゆる街

15

黄色の田縁取るよう な曼珠沙華

16

 太巻きじわりおふ くろの味

17(花)

故郷は今や盛りと花便り

18

 雪解け水 の瀬音のどかに

(名残折表)



 

19

春筍の眠りを覚ます憎い奴

20

 さすが絶倫補佐官を射る

21

その陰でならばと職を退く人も

22

 培った技生かす道あり

23

日向水金魚掬いの成果入れ

24

 祭りばやしに心躍らせ

25

朝日浴び寝台列車ひた走る

26

 ひれふるをとめ吾妹に似たり

27

花形のアンカーマンに 熱を上げ

28

 つるべ落としの日は傾いて

29(月)

餅肌の月見団子や頬ゆるむ 

30

 砂紋の如く秋天を掃く

(名残折裏)



31

鷺一羽遊ぶ水辺に花 芒

32

 漕ぐ手を休めしばしうたたね

33

空駆けて鳳凰堂の歌会へ

34

野越え山越え猫バスは行く

35(花)

 花もとめ北へ向かう人の群れ

36

ひとり冷笑江戸銀次郎


<2004年9月15日〜10月 12日>