せっかち歌仙 その57


<流星群の巻>


 紅 蓮・山八訪・永井人生・多摩のO脚・逐電・茶目猫・晩菊・長者巻・良流娯  


 

発句

子どもらと寝転んで待つ流星群  
紅   蓮

脇句

ふと気がつけば虫の音の闇  
山八訪

第三(月)

古老にも大志ありけり月見酒  
永井人生

白山麓のとびはいずこへ 
多摩のO脚

尼寺で銀の食器が盗まれて 
逐   電

刺草(いらくさ)干して食籠を編む  
茶目猫

(初折裏)

おさまりて秋の野菜はにこやかに  
晩   菊

他人装おう老いらくの恋  
長者巻

すれ違うただそれだけにときめいて  
良流娯

10

みんな仲良しブラック企 業      

11

ゾンビ魔女髑髏溢れるハローウィン  

12

夜長にひとり映画愉しむ  

13(月)

満月や自転車漕げば宙に浮く  

14

選挙に落ちて沈む重鎮  

15

歩をすすめ思いめぐらす鞍馬寺  

16

鯖街道を経日本海へ   

17(花)

大伽藍いぶし瓦に桜舞う  

18

心地良いのはやはり春風  

(名残折表)

 

19

初午祭太鼓の音が近づきぬ 
 紅

20

薄揚げ供へ二拍一礼  

21

厄年といえど年末宝籤  

22

雪見の露天さるもまったり  

23

装束をサスケ真田でからかわれ     

24

井戸の抜け穴囲みを潜る  

25

何となく一息つけば情けなや  

26

伴にいる今不思議な出逢い  

27

片恋に終止符打つや一人旅   

28

紅白見つつ聞く父母の愚痴  

29(月)

年の瀬に下弦の月と千鳥足  

30

秋天見上げ足を滑らす  

(名残折裏)

31

銀鮭や遡上の傷を全身に  

32

すもうに負けて通う外来  

33

半年の胃カメラ忘れ大慌て  

34

どうするべきかしばし考え  

35(花)

花見避け静けさの山ふっくらと  

36

春の雪踏み全快祝ふ  

 

<2024 年9月 25日〜2024年12月25日>