せっかち歌仙・その52


<梅雨空の巻>


   紅蓮・晩菊・茶目猫・長者巻・逐電・良流娯・多摩のO脚・山八訪    


 

発句

島やさい梅雨空越えて届けられ  
紅   蓮

脇句

夏大根の辛み楽しむ   
晩   菊

第三

目薬を差して夏書の僧ならむ  
茶目猫

老いに追われて文字かすみゆく   
長者巻

5(月)

娘と庭で鶏さばきおり望の月  
逐   電

もろこし焼く香道にも流る   
良流娯

(初折裏)

三島祭水辺をたどり碑を偲ぶ   
多摩のO脚

牢屋の窄に立ちて動けず    
山八訪

もどかしく狭まる思い痛ましや  

10

素足で浜を駆ける夢見し  

11

汗滲み目覚めの後の徒労感  

12

自然薯掘るも途中で折れて  

13(月)

友招き果てぬ家飲み冬の月   

14

不運の話題尽きず丑三つ  

15

登頂の想望弾む夜明け前 
 山

16

齢重ねて暑さわからず  

17(花)

花の宴あと何回と思うなり   

18

迎える春はいついつ迄も  

(名残折表)

 

19

初つばめ風に任せて瀬田泊り  
 茶

20

窓から投げる紙ひこうきや  

21

質屋爺あいさつ好きは困り者  

22

あやせば笑う子に励まされ  

23

手花火も気楽にできぬいつからか 
 O

24

片足立ちにふらふらゆらり 
 山

25

酒だけは今も変わらぬ八十路なり 
 晩

26

差しつ差されつ夜もふけゆく  

27

宇宙(そら)かなた星降る夜にプロポーズ  

28

産卵終えて亀海へ発つ   

29(月)

月光の届き竜宮城ひらく  
 茶

30

太郎嘆くな姫肥ゆる秋   
 逐

(名残折裏)

31

天高く下見所歩む競走馬  

32

美瑛の丘を爽やかに吹け   

33

かろやかにクロカンはいてCafeに寄り  

34

ウッドデッキで聞く百千鳥    

35(花)

咲き競う花々達もせいぞろい 
 晩

36

初音の鼓(つづみ)舞あでやかに  

 

<2022 年6月 17日〜9月16日>