せっかち歌仙 その47


<「虫しぐれの巻」>


     茶目猫・逐電・良流娯・長者巻・紅蓮・晩菊・山八訪


 

発句

真夜覚めて全身で聴く虫しぐれ  
茶目猫

脇句

新酒の酔いの去って虚しき  
逐電

第三(月)

月明り釣り具車に飛ばすらん  
良流娯

黄金に燿(ひかる)本牧の鯵  
長者巻

グループサウンズの時代胸よぎり  
紅蓮

思い起こすは懐かしきこと  
晩菊

(初折裏)

綺羅きらりひとひらごとの雪の舞  
山八訪

傘はないふり相合傘に  

マスクして明日を語るももどかしく  

10

オペラ座閉まり燕も帰る 

11

旧友と交す盃秋夜長  

12

松茸飯でたまのぜいたく  

13(月)

go toで星のリゾート月を待つ  

14

運も尽きたかクラスターとは  

15

逆転の人生知れば湧く力  

16

子に投げられて四股ふみ始む  

17(花)

花あらし両国の雲ちぎれ飛ぶ  

18

風光る街マスクはずして  

(名残折表)

 

19

県またぎ春の連休ふるさとへ  

20

眺める小川静かな流れ  

21

ひたむきに滝を超え跳ぶサクラマス  

22

目を輝かせ転職の友    

23

.立身の扉で自動ドアはなし  

24

ガラスの壁に体当たりして  

25

暫し待てさてどうするかこの後は  

26

心を決めて一歩近づく  

27

老いらくのおそれなき恋赫奕(かくやく)と  

28

機会・動機と正当化絶つ  

29(月)

月に泣く2番目の医師は名医なり  

30

柿照りの中結願札所  

(名残折裏)

31

秋天や爆音響く南隅路  

32

米国選挙一喜一憂  

33

世は常に思い通りにいかぬもの  

34

一息ついて春迎えれば 
 晩

35(花)

古本を繰ると栞の櫻花  

36

断捨離終える別れ雪かな

 

<2020 年9月20 日〜10月27日>