せっかち歌仙 その45


<春告鳥の巻>


  ターボ・紅蓮・晩菊・茶目猫・長者巻・多摩のO脚・逐電・良流娯・山八訪
    


 

発句

長調へ春告鳥の声転ず   
ターボ

脇句

島吹き渡るあたたかな風  
紅   蓮

第三

ゆすらうめゆらりゆらりと咲き初めて 
晩   菊

観覧車より日没の見ゆ  
茶目猫

5(月)

十六夜はためらいながら山の端に 
長者巻

人ごみ避けて庭木刈る日々  
多摩のO脚

(初折裏)

祭りはて胸整える女衆  
逐   電

勇姿が決め手変わらぬ思い  
良流娯

閉館しマスクをかけるダビデ像  
山八訪

10

世間騒がすコロナウイルス  

11

空を飛び想定外の場所に行く  

12

しばし寄らばや清らの薩摩  

13(月)

盃と噴煙照らす後の月  

14

なびく稲穂にかかし踏ん張る 
 長

15

バス待てば越後の空の赤とんぼ  

16

地球の裏は何する人ぞ  

17(花)

3Dのあふれる花に夢心地  

18

被災地低く霞たなびく  

(名残折表)

 

19

永き日にあち見こち見の風見鶏  

20

気の向くままに旅に出でたし  

21

のんびりと知らぬ土地での独り酒  

22

身震いひとつ転寝の覚め  

23

検温しエリマキ巻いて戦場へ  

24

願い叶えよ雑踏の雪  

25

丑三つに小僧和尚の蜜を舐め  

26

心震える甘いささやき  

27

こらえ抜け島根鳥取岩手県  

28

尋常成らず先は見えぬが  

29(月)

世界中明るく照らせ今日の月 
 紅

30

倭国は澄みて方舟なるらん  

(名残折裏)

31

炉火恋し友と語らう世迷言  

32

古希越した今あとはお返し  

33

報われる宝のようなありがとう  

34

道辺の草も春の宣言  

35(花)

人と人影は接触花堤  

36

.のどかの橋を犬猫の行く  

 


<2020年3月2日〜4月10日>