せっかち歌仙 その43


<ほととぎすの巻>


        茶目猫・晩菊・紅蓮・長者巻・山八訪・多摩のO脚・逐電・良流娯
    


 

発句

ほととぎす外輪山にこだまして  
茶目猫

脇句

入道雲の覗く青空  
晩   菊

第三

風をうけ大海原を進むらん  
紅   蓮

六分儀にて進路を決める  
長者巻

5(月)

新月に願い込め過ぎ二日酔い  
山八訪

支えきれずに秋空仰ぐ  
多摩のO脚

(初折裏)

祭りはてわれら捕囚のごと歩く  
逐   電

何が欲しいと問われれば愛  
良流娯

偲ぶれど歯痒きことの積み重ね  

10

納屋の梁にて雨の日の猫  

11

その上にこっそり暮らすハクビシン  

12

.一族そろい今宵にぎやか  

13(月)

しんしんと浅間更けゆく冬の月  

14

夕間暮れ待つ寒天干場  

15

こんなにも雨雲のこと気になる日  

16

とぎれとぎれに読むミステリー  

17(花)

花塵の沼のほとりへ点々と  

18

追いかけ遊ぶ蛙の子達  

(名残折表)

 

19

囀りに合わせヒヨコの第一声  

20

胸いっぱいに初めての朝  

21

公園のラジオ体操うた涼し  

22

オールしたぜと気取ったあのころ  

23

磯の日や魚突き母に掲げおり  

24

長蛇でも待つかき氷屋に  

25

日は落ちて家路辿れば薫る風  

26

橋の上にて逢瀬星見ゆ  

27

オシドリもゆったり浮かぶ湖のほとり  

28

立候補者に耳を傾け  

29(月)

仕事終えテレビ三昧月も見ず  

30

缶から叩き葡萄酒醸す  

(名残折裏)

31

腐葉土かシャンピニオンか秋の宴  

32

皮蛋眠る裏の馬小屋  

33

砂漠越え輝きを追ふ三博士  

34

求める夢は際限も無く  

35(花)

満開の花を探してどこまでも  

36

長閑なまきば阿蘇の牛たち  

 

<2019 年6 月21 日〜7月30日>