せっかち歌仙  その41


<時雨傘 の 巻>


  晩菊・茶目 猫・山八訪・紅蓮・長者巻・良流娯・多摩 のO脚・逐電
 


 

発句

路地狭し傾げ行き交う時雨傘   晩  菊

脇句

鐘冴え渡る古都の夕暮れ    茶目猫

第三

腕白が水琴窟に耳寄せて   山八訪

五感をみがき拓ける未来   紅  蓮

5(月)

幸あれと弓張り月の矢をはなつ   長者巻

音無き夜長星の観望
良流娯

(初折裏)

濁り酒晩節汚すと知りながら   多摩のO脚

暮夜に待ち伏せあなたのママを   逐  電

愛憎の果て山間の修羅の家  

10

人の営み千差万別  

11

このさきも自由自在に歩むらん  

12

秋嵐のなかストレイシープ  

13(月)

月明り風呂焚く煙森に消え  

14

五臓六腑にあらばしり浸む  

15

のひばり化粧の乗りを気に病んで  

16

儲けもんだよ生きてるだけで  

17(花)

永らえて花見に集う旧き友   晩

18

わらべ心のしやぼん玉吹く  

(名残折表)

 

19

人の世はうつろとまことの春霞  

20

海を見やれば帰る鳥あり  

21

深夜バス故郷を目指し最速で  

22

タイムトラベルのごと宇宙へ  

23

連れ添いて 心安らぐ冬景色  

24

鼻垂れ小僧のはては重役  

25

様々なドラマ渦巻く摩天楼  

26

慕うあの方高嶺の花か   晩

27

牧水は人妻を恋ひ秀歌詠む   紅

28

畦で動かぬ白鳥1わ 

29(月)

弦月を残すサハラに初茜 

30

らくだ休みて唐黍を食む   長

(名残折裏)

31

野分去りどっと駆け出す次男坊  

32

やっとひといきめでたきことに 

33

全豪でなおはね返すなおみバネ  

34

緩やかに老い娯しさふやす  

35(花)

朝もやに桜ほころびあたたかく  

36

里の日永に旅人帰らず  

 

<2018年11月17 日〜2019年1月30日>