せっかち歌仙 その40


赤とんぼ の 巻>


 良流娯 紅蓮 長者巻 山八訪 晩菊 茶目猫 多摩のO脚 逐電  


 

発句 スマートに車を躱す赤とんぼ      良流娯
脇句 山へと続くコスモスの道  
紅   蓮
第三(月) 野わけ去り月艶やかに耀きて 長者巻
雑木紅葉に瀬音蕭々   山八訪
浅瀬には陽気にはしゃぐ幼児達      晩   菊
少し離れて瓜冷やしをり  
茶目猫
(初折裏)
泳いでもなお泳いでもつかまらぬ   多摩のO脚 
メダルをという君のまごころ   逐   電
歌姫はピュアな心で嫁ぎゆく  
10 孫のなすこと飽かず眺む日  
11 はつ秋の風さんおうちはどこですか  
12 神々磨き蒼天高く   
13(月) 満月のさざなみの湖(うみ)浮御堂  
14 近江の夜更け梟の声  
15 無精紐引いて灯を消す独り者  
16 五階以上にクモ男おり  
17(花) 屋上で喧噪逃れ花の宴  
18 島に渡りて囀りをきく  
(名残折表)
19 子育てにてんやわんやの燕の巣 
20 春疾風訪う老いの独り寝  
21 眠られぬままに起き出し朝散歩  
22 畦に早くも白い軽トラ  
23 徒歩やめた誓いを破って冷房車  
24 赤点をとり赤飯が飛ぶ  
25 高校に入り初めて知りしこと 
26 茶箱に残る交換日記  
27 秋入日乙女まどろむ優先席  
28 あらばしり呑みもう一軒へ  
29(月) 令息と令嬢ばかり月の道  
30 思い起こせし若かりし頃  
(名残折裏)
31 図書館の閉館告げるジャズナンバー  
32 古都にあこがれ夜汽車で向かう  
33 カニ族も周遊券も今は消え  
34 召される我はあまたの未練  
35(花) 満開の花に送られ出発(たびだち)ぬ  
36 それにつけても酒のほしさよ  
 
<2018 年9月4日〜10月15日>