せっかち歌仙 その34


<初
社 の 巻>

             茶目猫  逐電  良流娯  長者巻  紅蓮  晩菊         


 

発句 目録の墨の匂ひや初社      茶目猫
脇句 若水をぬる外孫の口      逐   電
第三 朝まだき母萵苣きざみ歌うらん   良流娯
ひかる棚田に霞みたなびき   長者巻
5(月) 鈍行の窓より見ゆるおぼろ月    紅   蓮
暫し微睡み目覚めの紅茶   晩   菊
(初折裏)
夏祭り褌ゆるむ男衆  
思ひの丈を柄杓に託し  
暗闇に芳しき香と草いきれ  
10 珈琲啜るキャンプの夜明け   
11 寛ぎし湖畔の避暑地別世界  
12 ハンモックはり読書三昧   
13(月) 公達に難題を出す月の姫    
14 衛星を追ひ星の流るる  
15 願い事する間も無しの秋の虹   良
16 夢の中にてイルカと泳ぐ  
17(花) 幼子の短き首に花飾り  
18 若草踏んでよちよち歩き  
(名残折表)
19 風光る行軍ショーの人鳥に  
20 などと打電しあとは地下街  
21 酔客の隣勘弁席を立つ   良
22 乗り越してなお夢路を走る  
23 明日もまたマタギの里に雪積もる   
24 冬将軍の居座り長し  
25 受験子の余暇やペン指す両の耳   
26 枝に添えたる文の匂やか  
27 待つことのもどかしさにも胸躍る 
28 遠き未来は名のみの季節  
29(月) 無念だが偶に無月も仕方無し  
30 ひとりたたずみ秋の声聞く  
(名残折裏)
31 棒倒しぽきぽき折れる友の骨  
32 石の微笑の刺抜き地蔵  
33 .手を合わせ首を垂れる姿あり  
34 堪えて凌げばもう春近し  
35(花) 花どきの東屋借りて笛奏で   良
36 五感くすぐるうららかな日よ  
 
<2017年1月11日〜2月10日>
 


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