せっかち歌仙 その33

露 の 玉 の 巻>


                   茶目猫   晩菊   紅 蓮      逐電      良流娯   長者巻        


 

発句 野の草の御礼のやうな露の玉   茶 目猫
脇句 残暑潤す夜明けの眺め   晩   菊
第三(月) 月照らす大海原もきらめきて  紅    蓮
三日遅れの便り着く島   逐   電
向こうでも見る者あるや夏の星      良流娯
驟雨の去りてますます不快
長者巻
(初折裏)
出し抜けに事を好まず廻り道    
手漕ぎの舟で目指す対岸  
樹を伐らん君の地平をひらくため  
10 種まき育てともに生きよう    紅
11 そうめんと茄子煮びたしを冷やしおき  
12 夫の自立妻の安心    良
13(月) 満月をふたり並んで見てをりぬ  
14 遠き昔の麦蒔きのころ       晩
15 秋の暮れ遊び時間がはや過ぎぬ  
16 辞してまろぶはわがシンデレラ   
17(花) 花かざし鳥の声ききにわそうじ  
18 霞たなびくおくやまの朝  
(名残折表)
19 里道のあちら此方につくしんぼ  
20 世話焼き姥の神出鬼没   
21 めだか鉢景徳鎮とおだてられ  
22 旅の土産におひとついかが  
23 閑古鳥耳をすませば風立ちぬ  
24 マネキンたちの着せ替えごっこ  
25 馴れ初めは幼き頃のおままごと  
26 時は巡るも尚いとおしく  
27 人生はうたのようにはいかぬもの   
28 ひたすらに夢持つ人強し  
29(月) 月の兵恩賜の煙草回しのみ   
30 スーダンの地で祭りを想う 
(名残折裏)
31 安穏な暮らし尊き薄紅葉  
32 古人を辿り漂泊(さすらひ)止まず  
33 方寸の豚舎に満つる豚の鼻  
34 北の大地に理想郷あり  
35(花) しらさぎの万朶の花に風そよぐ 
36 春の闇来てエウロパに馳す
 

<2016 年9月7日〜10月1日>
 


歌仙に戻る     HOME