せっかち歌仙 その32

<夏大根の巻>

       逐電  良流娯  茶目猫   晩菊  紅蓮  長者巻           


 

発句 政局の記事にて包む夏大根   逐   電
脇句 縁でおしゃべり氷菓片手に   良 流娯
第三 里山にいつしか夕日傾きて   茶目猫
塒へ急ぐ鳥達の群れ   晩   菊
5(月) 島行けば海に輝く月の道     紅   蓮
秋鯖一尾凝つと動かず   長者巻
(初折裏)
痛む腹さすり横たふ秋の暮  
紅を手に取る若き神主  
これがその恋と言うのか泡沫の   晩
10 大人となるはほろ苦きもの  
11 泣き叫ぶただ猛然と乳子(ちご)の生  
12 森に分け入り野草に出会う   
13(月) 満月の證誠寺で狸踊りだし  
14 写せし萩を待ち受けにして  
15 すつきりと秋天にある天守閣  
16 復元までの長い道のり  
17(花) 艱難を堪え乗り越え遅桜  
18 山下りて来て霞む里山  
(名残折表)
19 街の音消すかのような春の雨  
20 速達を出しあとはデパ地下

21 駅頭の演説開始選挙戦  
22 離脱を悔やみ揺るるロンドン  
23 青嵐しばらくじっと様子見る  
24 船上からのテープを持って  
25 綱引きの後ろと前が恋に落ち  
26 同窓会で再び出逢う  
27 蘇る想いを胸に酌むお酒  
28 空見上げれば花火はじける     紅
29(月) 灯の消えて闇の藍色十三夜 
30 秋深くなり御仏に逢う
(名残折裏)
31 渡り鳥日がな一日待つもよし  
32 ベランダで食う宅配のピザ  
33 暮れ方にチーズの香漂いて  
34 春炬燵より外を眺むる   
35(花) 頭山長屋こぞって花見行く  
36 野遊びの子に平和な未来  
 
<2016 年6月1日〜7月12日>
 


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