せっかち歌仙 その15


<牡 丹 の 巻>


 少艶   良流娯  茶目猫   長者巻  紅蓮  晩 菊      


 

発句

牡丹笑む鄙(ひな)の古刹に小糠雨

 

脇句

 何を祈るや上布着の女(ひと)

良流 娯

第三

たましひは珊瑚の海の魚ならむ

茶目 猫

 生の積層悠久のまま

長者 巻

5(月)

時を越え火の鳥照らす月明かり

 

 虫の音絶えて深ま るしじま

 

(初折裏)



朝まだきひとり踏みしむ露葎

 ポッケに一冊インメンゼー

蒼き森湖面波立ち思い揺れ

10

 君を偲べば尾長飛び交ふ

11

周りから騒がれし頃 懐 かしく 

12

 むかし選手の試合解説

13(月)

心眼の月皓々と迷いなし

14

 ナビを頼りに紅葉狩りかな

15

いわし雲一号線を北上す

16

 反グローバル凄むテポドン

17(花)

断崖に枝を伸ばして山桜

18

 谷間を下る雪解け水よ

(名残折表)



 

19

故郷を忘れず来しか鱒の群

 良

20

 共に飲もうよマンザニーリャを

21

言祝ぎを昨夜したためうわのそら

 長

22

 若き二人の輝くあした

23

薄紅の可憐な姿 岩 鏡

24

 遠くに見ゆる槍穂高かな

25

球は蹴ろ技術体力ゴールまで

26

 恋に恋して乙女になりぬ

27

彼の人の思ひを風に問ふ野かな

28

 ギター片手にフォークを歌う

29(月)

アラベスク満ち降りそそぐ月の海

30

 うねり優雅な秋の 大潮

(名残折裏)



31

変わらずに今年も集う風の盆

32

 民営化にも一役買いて

33

何時届く梨のつぶては誰のせい

34

 沙汰は無くとも移 ろう季節

35(花)

列島の目覚め促す花便り

36

 春の喜び各地にあふる

 

  <2006年6月5日〜7月1日>