せっかち歌仙 その11


<土 筆 の 巻>


 少艶      良流 娯    晩 菊    紅蓮    長 者巻  茶目猫


 

発句

目醒めれば土手一面の土筆かな

少  艶

脇句

 お湯割りすすりつまむは野蒜

良流娯

第三

遠山は 霞隠れか恥じろうて

晩  菊

 靴音高く若人の群れ

紅  蓮

5(月)

月照らす暴徒あわれや古き国

長者巻

 法王の夢花野に零れ 

茶目猫

(初折裏)



長き夜母と娘の根比べ

 いのち短し恋せよ處女

ゴンドラにゆらりゆられる二人かな

10

 即かず離れず心通 わせ

11

路地奥へ宝捜しの下校の子

12

 蝋燭ともしそろりそろりと

13(月)

十六夜の月と対酌ただ静か

14

 コーヒー薫る秋山の朝

15

鮮やかに萩乱れ咲く散歩道

16

 万歩あるくは健康によし

17(花)

飛花落花坂を上れば診療所

18

 庵にて酌む淡雪の酒

(名残折表)



 

19

ただいまの声一人待つ春の宵

20

 500本目は今日もお預け

21

何事も直球投げて 勝負せよ

22

 波乱含みの中央突破

23

のんびりと一休さんならはし渡る

24

 森女いとし 風 狂の師

25

狂歌詠み次なる獲物鏡花賞

26

 ときめき忘れカサツク心

27

密やかに 小雀数 羽若葉雨

28

 竹薮に入り地面に凝らす

29(月)

月の出を待ちて迎えの来たるらん

30

 妙なる調べ舞ひ散る紅葉

(名残折裏)



31

幼子もわたあめねだる秋祭り

32

 青雲の志は飛行機雲に

33

ユーミンのCD流る車中にて

34

 中央道で45キロ

35(花)

あの辺り 彩り添 える 山桜

36

 空いっぱいの春の虹かな


  <2005年4月12日〜5月11日>