せっかち歌仙 その1      

<曼 珠 沙 華 の 巻>

 


 晩菊    紅蓮   少艶   山八 訪   良流 娯   長 者巻 


 

発句

一面に咲き揃いたり曼珠沙華

晩  菊

脇句

  栗拾いつつ里山を行く

紅  蓮

第三(月)

野分立つ真野の入り江に月落ちて

少  艶

 見立ての酒も乙なものなり

山八訪

百年の孤独を知るや眠り姫

良流娯

 曼荼羅で見し夢で悟りを

長者巻

(初折裏)



ヒマラヤの高みに立ちて思ふ人

 ふと懐かしむ清き面影

偽善家を一生とおす離れ業

10

 遺伝子組み替え木に登るブタ

11

お人好しほめそやかされ泥沼へ

12

 一時帰国で再会の笑み

13(月)

中天の半月明(さや)か和み酒

14

 紅葉の山で心あらわる

15

プロじゃけん有馬の湯よりゼニがええ

16

 脆くも早き春の訪れ

17(花)

ラケット置きするめ片手に花の宴

18

 囀り長閑風香しき

(名残折表)



 

19

ふるさとを味わいつくせ五感にて

20

 心は静か白露の道

21

からっぽの毬(いが)踏み刺して歩みやむ

22

 宗家争い公事となるらん

23

平蔵の下がり目さらに曇りたり

24

 まぶた重たくお昼寝日和

25

三軒の梯子重ねて午前二時

26

 「贈る言葉」の熱唱で締め

27

席狭し足腰しびれ五十路かな

28

 車窓をたたく初冬の雨

29(月)

原宿はTSUKIもブランド/コレクション

30

 青山アオキコナカはるやま

(名残折裏)



31

ポイントを集めてうれし庶民なり

32

 世知辛き世に潤い求め

33

別れ霜真一文字に口結ぶ

34

 春惜しみつつ釦受け取る

35(花)

来し方を散りゆく花に重ね見る

36

 晩春にきく乾杯のうた

 

<2002年10月7 日〜11月7日>