エマノン歌仙 その7      

<時 雨 の 巻>

 


少 艶良流娯天 遊嗤己晩菊紅蓮長者巻 茶目猫多摩のO脚


 

発句

地震(なゐ)しげく時雨も漏るる庵かな

少  艶

脇句

 静かに咲けり石蕗(つはぶき)の花

良流娯

第三

黄のリボン無事の帰還を待ちわびて

  

 百年の夢覚めて一人に

  

5(月)

暁の月を見上げる 野天風呂

  

 紅葉色づく街道を行く

  

(初折裏)



司馬の夢夢のまた夢桐一葉

長者巻

 より高く飛べ紙風船や

給油せず世界一周ハネムーン

10

 八十日後それぞれの道

茶目猫

11

Enterキー奈落の底へ まっしぐら

12

 六本木ヒルズ 空高く聳え

多摩のO脚

13(月)

寒月と電飾を背にツーショット

14

 肩寄せ合うて 聖夜の街へ

15

バチカンの謎解きに跳ぶラングドン

16

 世界遺産もピンキリありて

17(花)

古都奈良に花さそう風ひとしきり

18

 心もとなきわかくさの妻

(名残折表)



 

19

春雨に 煙る山蔭 鹿の声

20

 バイソン・ムース・グリーズリーベア

21

サバンナの影揺らめいて陽が沈む

22

 ぬばたまの闇しなやかな風

23

古の 雄姿を偲ぶ 阿蘇の山

24

 そっと持ち競う線香花火

25

ふたとせ後ハチ公前で待ち合わせ

26

 夕闇迫る 雑踏の街

27

チッチキチー危うき誘いはらいのけ

28

 嗚呼りざや追い暮れなずむ丘

29(月)

鉄格子心に沁みる寒の月

30

 キングコングの咆哮響く

(名残折裏)



31

忽然と雪ふる街に美女と野獣

32

 松葉杖ふえマスク消え去る

33

健康児学級閉鎖 嬉しがり

34

 ようやくにして  春 の訪れ

35(花)

西行と風流語る櫻かな

36

 長閑なときを客と過ごしぬ

 

<2004年11月2 日〜2006年2月1日>