エマノン歌仙 その6     

<桷(ずみ) の 花 の 巻>

 


少艶    晩菊 ・ 良流娯 ・ 銀次郎 ・ 紅蓮 ・ 嗤己 ・長者巻 ・ 天遊 ・ 山八訪


 

発句

細やかに桷の花散る水の面

少  艶

脇句

 覗く翡翠(かわせみ)小魚の影

晩  菊

第三

暗闇に空の宝石輝いて

良流娯

 難波に潮満ち赤星走る

銀次郎

5(月)

新月やカニも乱舞し産卵す

  

 金のさざなみ花芒原

  

(初折裏)



鮭の目に熊の手黒く断末魔

長者巻

 ロウアングルで 動く白足袋

  

恋慕う 思いを込めし 緋縮緬(ひぢりめん)

10

 闘牛場のどよめき覚ゆ

11

突き刺して 倒れた背中 蹴りつける

12

 青い果実もいつかは熟す

13(月)

盗み酒酔い醒ましたる冬の月

14

 黒いドレスをきりりとまとい

15

ブラームス聴きに行く日の別れ霜

山八訪

16

 友は語りぬ春の夢など

17(花)

一陣の 風に舞いたり 花吹雪 

18

 ライトをあびて回るチュチュの子

(名残折表)



 

19

踊り場でオペラグラスを隠し持つ

20

 とらえて見たきルリビタキかな

21

野鳥の会目にもとまらぬ数かぞえ

22

 あなたに頼るユビキタス様

23

ドラえもんどこでもドァで 先を行き

24

 要件事実の欠落許さず

25

まあまあと司法取引片をつけ

26

 訪れるのか安らぎの日は

27

結果聞き胸なでおろし輝く目

28

 心を燃やす青春時代

29(月)

やる気無き前の4句 に月を割る

30

 やぶれ障子に紅葉散らして

(名残折裏)



31

鐘さやか水面に映るオリーブの実

32

 メンチを食べて雄叫びあげる

33

繰り上げの ほろ苦き味 金メダル 

34

 赤絨毯に震え止まらず

35(花)

手をつなぎ花のアーチを行く親子

36

 出口虚しき凡庸の果て


 

<2003年5月8 日〜2004年9月15日>