エマノン歌仙 その5      

<父 の 日 の 巻>

 

少 艶 ・ 長者巻 ・  嗤 己    良流娯 ・  天 遊  山八 訪・銀次郎 ・ 紅 蓮 ・麻衣子 ・ 晩 菊


 

発句

父の日も無音のうちに過ぎにけり

少  艶

脇句

 夕餉にビール在りし日の影

長者巻

第三

泡風呂や女帝気分をゆすられて

 

 光源氏に夢中の女の子

 

5(月)

旅便り 月を意匠の 挿絵あり

山八訪

 想いは宇宙コスモスの丘

良流娯

(初折裏)



阿呆陀羅の秋の扇に尻まくり

銀次郎

 リズムに乗ってダンスはいかが

 

彼の女の背中に描く ツイストツイスト 

麻衣子

10

 時代錯誤に揺れる外交

11

あめと鞭使い分けてぞ誉めらるる

12

 心浮かれて仰ぎみる空

晩 菊

13(月)

月明かし悪がきの夢賞を受け

14

 盃に浮かべる菊の香ほのか

15

軍手はめ銀杏拾う二人連れ

16

 奇麗事言わず別れてしまいなさい

17(花)

花の駅身軽になりて降り立ちぬ

18

 長江淡く雨忍び込む

(名残折表)



19

夜の霧 ドゥオモの屋根とストロベリー

20

 陰げ口軽く心うきうき

21

現身(うつしみ)の空言虚しブーメラン

22

 兎角この世は巡り巡りて

23

禍を福に変えたや三社祭

 

24

 竿に袖入れノビノビ浴衣

25

六代目 ゆすりたかりで 見得を切り

26

 夜店の灯りに帯もうごめく

27

風俗やにやけ男のあぶら顔

28

 時が過ぎれば黄落に入る

29(月)

父の書を抱いて暮らすムーン・パレス

30

 樫の実拾い根津を訪ねし

(名残折裏)



31

香味屋よし菊見せんべい懐しや

32

 醤油の香り夕焼けの色

33

鰻やは 晦日にぬっと 煙代

34

 鶏の鳴くまでのらりくらりと

35(花)

名園のそぞろ歩きで花シャワー

36

 Remember me.Do not forget me.


(おぼえていてね わすれちゃいやよ)


 

<2002 年6月19日〜2003年4月14日>