エマノン歌仙 その20


<乱 れ 萩 の 巻>


    少艶 逐電 天遊茶目猫長者巻嗤己良流娯 紅蓮 山八訪             多摩のO脚 晩菊            


 

発句

夕風と 戯れおりし 乱れ萩   

  晩  菊

脇句

 秋蝶の描く空への螺旋  

  茶目猫

第三(月)

妹の貌妖しく浮かぶ無月にて  

 嗤   

 駿馬駆け抜け萱の穂揺れる 

 多摩のO脚

嬉々としてちゃんばらごっこ昔の子  

 良流娯

 総領甚六短か夜の夢  

 逐  

(初折裏)

父倒れ俄か仕込みの後継者  

 少  

 日々の手当に淡き想いを  

 長者巻

波騒ぐ 湖畔の立 ち湯闇の雨  

山八訪

10

 玉砂利を踏む心地よさかな 

  紅   

11

今日だけは大の字に寝る掛人  

  

12

 かすかに聞こゆ戸締りの音  

13(月)

寒月光ふと目を覚ます赤ん坊  

 茶

14

 いとし盛りのよちよち歩き  

15

山腹ではやばやと食う握り飯  

16

 EEとして海静かなり  

17(花)

朝陽浴び花一面の吉野山 

 O

18

 浪花の場所の化粧廻しに  

(名残折表)

 

19

錦絵に海峡り行くてふてふが  

20

 拝金宗から科学宗へと  

21

待ちわびし尊き湿り旱畑(ひでりばた)  

22

 業平調の歌を詠むなり  

23

時は今スカイツリーに歓声が  

24

 カウントダウン灯の点りけり  

25

曙にうっすら浮かぶ星ひとつ  

26

 追えば逃げれど追わねば無風  

27

かけひきも成就の秘訣恋の道 

28

 叱られること 多 きこの頃  

29(月)

怖々と寝待ちの月も顔出して  

 少

30

 吸い物の具に透けた冬瓜    

 長

(名残折裏)

31

幸来ぬと目にはさやかに見えねども  

32

 平穏無事に今年も過ぎぬ  

33

首すくめ明日という日を待つばかり  

34

 磨く成田屋自惚れ 鏡  

35(花)

花吹雪気合い込め行く力士かな  

 良

36

 踏まれ蹴られてなほ草萌ゆる  

  <2010年10月14 日〜12月24日>