エマノン歌仙 その17


<こ ぼ れ 萩 の 巻> 


   茶目猫・良流娯・天遊・少艶・紅蓮・嗤己・長者巻・逐電・多摩のO脚・晩菊・       山八 訪         


 

発句

石垣に残る温もりこぼれ萩  

 茶目猫

脇句

 秋天映し濠静かなり  

 良流娯

第三(月)

いわし焼く九尺二間に月澄みて  

 天  遊

 底力あり庶民の絆 

 少  

大衆も味方につけば変わるらん 

  紅  

 雷雲や軒下借りて  

 嗤  

(初折裏)

雨だれの怒りの雫岩穿つ  

 長者巻

 拗ねて眩しき 鎖骨の窪み  

 逐  

背中刺す痛みで覚ゆ過ぎし日々  

 多摩のO脚

10

 心の傷も今は懐かし

 晩  

11

芋嵐 こんな大学 やめてやる   

山八訪

12

 何はともあれ食欲の秋  

13(月)

山の端に満面の笑み望の月  

 良

14

 丹精込めし菊かおるなり  

15

後の世にいや輝ける源氏かな  

16

 蛍を追ったふるさと思ふ   

17(花)

姉妹の晴着姿に花綻ぶ  

 少

18

 記念写真で霞む母らは  

(名残折表)

 

19

春愁にごわごわ痛きシャツの襟  

20

 背筋も伸びるオーダーメイド  

21

大空へ飛べよと願ふ吹流し  

22

 ドームが蓋いライトが照らす 

 山

23

ヤンキース火を吹くゴジラMVP  

24

 夏空高く噴煙走る  

25

むかしならめしふろ寝るの三語族  

26

 裸のサルや進化とまらず  

27

ロードショー衝撃受けしラストシーン  

28

 闇を透かして輝く木の葉  

29(月)

天空に 凍えて浮 かぶ月の穴 

  長

30

 死体役者も 囲 むてっちり  

 逐

(名残折裏)

31

夢うつつ振り向き見れば秋の宵  

32

 桜紅葉の散り敷く小路  

33

暮れなずむ竹林深く 涯り無し  

34

 巨大迷路を駆け回る子等 

 良

35(花)

よき人のうなじうつくし花の寺  

 天

36

 シタールの音にゆらぐ糸遊  

 

  <2009年9月16日〜12月10日