エマノン歌仙 その16


<白 も く れ ん の 巻> 


  茶目猫 ・ 長者巻 ・ 紅蓮 ・ 天遊 ・ 晩菊 ・ 多摩のO脚 ・ 良流娯 ・ 山八訪 ・        嗤 己 ・少艶 ・ 逐電            


 

発句

白もくれん水迸る匂ひせり   

茶目猫

脇句

 .闇に浮き立つ白 き 山鳥  

長者巻

第三

風まぶし銀輪軽くこぎ出して  

  

 どいてどいてとよちよち歩き  

  

5(月)

幼児のほころぶ笑顔月さやか

  

 ひかりかがやく銀杏の実 

多摩のO脚

(初折裏)

.秋高し俳句ポスト に投稿す  

良流娯

 上場会社が倒れて消える   

山八訪

残り香や肘を枕に君偲び 

  

10

 日本堤で帯引き取りぬ  

 少  

11

神職が 飛び入り で打つタイムリー  

  

12

 やんややんやの喝采浴びて  

13(月)

一陣の夕立過ぎて月浮かぶ  

14

 古城の空へ雁鳴き渡り  

15

萩の風川辺に一人横たわる  

16

 季節は流れ若草萌えて  

17(花)

咲き誇る花の向こうの遠会釈  

18

 月毛の手綱曳いてのどけし  

(名残折表)

 

19

色褪せし古書もよろしや老の恋  

20

 押し花見つけあの日にかえる  

21

草笛や寝転んで見る白き雲 

22

 言い勝ちしのちサラダ菜をほめ  

23

修辞にて党首の器量秤るらん  

24

 なにがなんでも鳩ぽっぽかな  

25

黒い森街道を行く二人連れ 

26

 五右衛門風呂につかる弥次喜多  

27

大欅陽気に騒ぐ青嵐  

28

 乱れぬ髪の汗をぬぐいぬ 

29(月)

階段をのぼった先に梅雨の月 

30

 屋根なき塒で洋火酒を呷る  

(名残折裏)

31

果てしなく広がる闇に素馨の香  

32

 無名の座にはあきは来ぬらし 

33

臆病窓より一装の令夫人  

34

 たどたどしくも鶯の声 

35(花)

夕暮れの花の下にて吹き鳴らす 

36

 冴返るかなハメルンの笛  


<2009年3月14 日〜6月26日>