エ マノン歌仙 その14 


<夏 来 た る の 巻> 
 

逐電・晩菊・ 良流娯・茶目猫・多摩のO脚・少艶・長者巻・嗤己・紅蓮・
山八訪・天遊


 

発句

石置けば変わる瀬音や夏来たる

 

脇句

 太公望の麦わら帽子

  

第三

木の陰にしばしねころびまどろみて 

良流娯

 大空を舞う浅き夢見し

茶目猫

5(月)

月見ればうさぎと遊ぶ幼子や

多摩のO脚

 南瓜抱えて手足擦りむく

 

(初折裏)

空紅く  黄 金に輝く稲穂かな

長者巻

 玉を忍ばせ渡すは何時に

 

古き代に君に贈るは翡翠なり

  

10

 ホストクラブに虚実翔び交う

山八訪

11

大星のなり手ばかりの文士劇

  

12

 筋はともあれ我が子撮るのみ

13(月)

団欒の窓覗き居る望の月

14

 街宣車の行く三笠 の 紅葉

15

白菊に縁飾られし友 の像

16

 在りし日偲び酒を注ぎ交う

17(花)

杯あげて君へ届けむ花の風

18

 卒業の日の喜びに添え 

(名残折表)

 

19

雛壇に飾る菱餅すっ きりと 

20

 鳥の巣の夢 聖火燃えるか 

21

よく笑う 弟子や 水辺の サボタージュ 

22

 円空仏のくったく の なさ 

23

衣剥ぎ赤肌妖しく コルク樫

24

 艶やかなるはワインの酔いか

25

アルプスのランチタイムがよみがえる  

26

 ヨーデルひびく 雪渓の谷 

27

うらやまし汗にまみれて黒光り 

28

 はずれ馬券の紙吹雪舞う 

29(月)

振り向けばおけらの道に月明かり 

30

 虫の音妖し眠られもせず 

(名残折裏)

31

夜も更けて暗がりで飲む新酒かな 

32

 孫にも秘密の 松 茸の城 

33

老饕(ろうとう)の健啖ぶりに目を見張り 

34

 尚永らえて春を迎えん

35(花)

歌の縁ありて集うや花の宴 

36

 アルトもバスも訛りあたたか

 

<2008年5月23 日〜9月17日>