エマノン歌仙　その１２

＜大 芒 の 巻＞

晩 菊・茶目猫・長者巻・逐電 ・多摩のＯ 脚・ 紅蓮・良流 娯・ 嗤己・天 遊・少艶　

	朝風にうねり輝く大芒	晩 菊
脇句	波の間に間に秋の富士見ゆ	茶目猫
第三（月）	縄のれん月代の頃酔いしれて	長者巻
４	暖かきかなわれは 群衆	逐 電
５	独り身の寒さが沁みるすきま風	多摩のＯ脚
６	漂泊の人芭蕉を思ふ	紅 蓮
（初折裏）
７	青春の思い出語る切符たち	良流娯
８	予想だにせぬ我が迸り	嗤 己
９	老いてなお夫子を捨てる恋をして	天 遊
10	末は単騎の泣き別れかも	少 艶
11	鴎飛ぶ埠頭に残る紙テープ	茶
12	涼風（すずかぜ ）吹いて夕 闇迫る	晩
13（月）	母（かか）様に スー プを急ぐ月の道	逐
14	遠きに想う冬瓜の味	長
15	行く秋や訛り飛び交う同窓会	紅
16	懲りずに冒す三つ子の魂	Ｏ
17（花）	花の精漂う闇にたたずみて	嗤
18	蝶もひらひらワルツのように	良
（名残折表）

19	馬の仔よ跳ねろや跳ねろ柵越えろ	少
20	阿蘇の御山にうどん煮る湯気	天
21	朝風呂にゆるりと浸 り 夢心地	晩
22	うつつの風に揺るる着流し	茶
23	路地裏の影強くなりりんと鳴る	長
24	妾宅の戸の高きニスの香	逐
25	朝帰り新聞店に灯が点り	Ｏ
26	一面飾るランナーのＶ（ブイ）	紅
27	足にタコ頭使えば脳にタコ	良
28	逆地球儀を作る日近し	嗤
29（月）	月浴びて重さに耐える天の邪鬼	天
30	秋場所休み夜光の杯あく	少
（名残折裏）
31	復活の横綱祝ふ新酒かな	茶
32	やっと整う二枚看 板	晩
33	売り出しのビラに余 りし鰤の頭（かま）	逐
34	七輪盛り立ち上る煙	長
35（花）	花くぐりゆらりたゆとう屋形船	紅
36	蠢き感ず名残雪かな	Ｏ
＜２００７月９月２６日〜 １２月１０日＞